先週の金曜日、また衝撃的な相談が舞い込んできました。
「田中さん、助けてください。ファクタリング会社に騙されました…」
電話の向こうで泣きそうな声を出していたのは、都内で建設業を営む山田社長(仮名)でした。売掛金100万円をファクタリングで現金化しようとしたところ、「業界最安値の手数料8%」という甘い言葉に誘われて契約。ところが、実際に振り込まれたのはなんと62万円だったというのです。
「手数料8%やったら92万円入るはずやのに、なんで62万円なんですか?」
山田社長の疑問はもっともです。しかし、これがファクタリング業界の恐ろしい現実なんです。表面的な「手数料8%」という数字の裏に、巧妙に隠された追加コストが山ほど潜んでいる。結果として、実質的な手数料率は38%にも跳ね上がっていたのです。
業界にいて15年、年間300社以上の資金調達支援をしている私でも、未だにこんな悪質な手口に驚かされることがあります。特に最近は「手数料業界最安値」を謳う業者が増えているんですが、その多くが今回のような隠れコストの罠を仕掛けているんです。
ほんまに腹が立つ話やで。
中小企業の経営者の皆さんは、日々の資金繰りに頭を悩ませながら、必死に会社を守ろうとしている。そんな経営者の足元を見て、情報格差を悪用するような業者は絶対に許せません。
今日は、ファクタリング会社が絶対に教えたがらない「隠れコスト」の正体を、業界の裏側を知り尽くした私が包み隠さずお話しします。この記事を読めば、もう二度と「手数料8%」という甘い罠に引っかかることはありません。
経営者の皆さん、騙されたらアカンで。
目次
ファクタリング会社が絶対に教えない「隠れコスト」の正体
「登記費用は別途」の一言で数万円が消える
まず最初に暴露したいのが、債権譲渡登記費用の罠です。
多くのファクタリング会社は、契約の最終段階になって「あ、そうそう、登記費用は別途いただきますので」とサラッと言ってきます。この時点で、もう後戻りはできません。急いで資金が必要な経営者は、泣く泣く追加費用を支払うしかないんです。
債権譲渡登記というのは、簡単に言うと「この売掛金はファクタリング会社のものですよ」ということを法的に証明するための手続きです。2社間ファクタリングでは、売掛先に通知しない代わりに、この登記でファクタリング会社の権利を保護するわけです。
で、この登記にいくらかかるかというと…
登録免許税:7,500円~15,000円(債権の数によって変動)
司法書士報酬:50,000円~100,000円
合計で約6万円から11万円もの追加費用が発生するんです。
先月も相談があったんやけど、300万円の売掛金をファクタリングしようとした製造業の社長が、「手数料5%」という条件に飛びついたところ、登記費用で8万円を別途請求されて愕然としていました。300万円の5%は15万円ですが、登記費用を含めると23万円。実質的な手数料率は7.7%に跳ね上がったわけです。
「なんで最初に言ってくれへんかったんや」
その社長の怒りは当然です。優良なファクタリング会社なら、必ず最初の見積もりで登記費用も含めた総額を提示します。「登記費用込み」と「登記費用別」では、総コストが大きく変わることを理解しておいてください。
「審査は無料」と言いながら請求される謎の手数料
次に問題なのが、名目を変えて請求される各種手数料です。
「審査は無料です」「初期費用はかかりません」
こんな甘い言葉で顧客を釣っておきながら、契約書にはしっかりと各種手数料が記載されている。これが悪質業者の常套手段です。
具体的には、こんな手数料が請求されます:
契約書作成費:10,000円~30,000円
印紙代:200円(売掛金1万円以上の場合)
振込手数料:500円~1,000円
調査料:5,000円~20,000円
事務手数料:10,000円~50,000円
一つ一つは小さな金額に見えますが、積み重なると結構な額になります。特に「事務手数料」という名目は要注意です。何の事務なのか具体的な説明もなく、一律で数万円を請求する業者が多いんです。
昨日も電話相談があったんですが、50万円の売掛金で「手数料10%」と言われて契約したところ、各種手数料で追加7万円を請求された運送業の社長がいました。
手数料5万円+各種手数料7万円=12万円
実質的な手数料率は24%です。これでは高利貸しと変わりません。
優良業者は、こうした手数料も含めて「総額でいくら」という提示をしてくれます。逆に、手数料を小分けにして説明する業者は要注意やで。
「100万円の売掛金」なのに「80万円しか入金されない」理由
最後に、最も巧妙な罠が「掛け目(買取率)」のトリックです。
多くの経営者が見落としがちなのが、この掛け目の存在。ファクタリング会社は、売掛金の100%を買い取るわけではありません。リスクヘッジのために、売掛金額の80%~90%程度しか買い取らないのが一般的です。
例えば、100万円の売掛金で掛け目80%の場合:
実際の買取額:80万円
手数料8%:6.4万円(80万円の8%)
実際の入金額:73.6万円
あれ?おかしいですよね。100万円の売掛金なのに、73.6万円しか入金されない。実質的な手数料率は26.4%になってしまいます。
「でも残りの20万円はどうなるんですか?」
売掛先から入金があった時点で、残りの20万円から各種費用を差し引いて返金される仕組みです。しかし、この時にも「回収手数料」や「管理費」という名目で追加費用を請求する業者があるんです。
実際にあった話やけど、掛け目70%で契約した建設業の社長が、売掛金回収後に「回収手数料5%」を請求されて驚いていました。最初に聞いていた手数料は12%だったのに、実質的には35%以上のコストがかかったという計算になります。
これだけは声を大にして言いたい。表面的な手数料率だけで判断したらアカンということです。
「手数料8%」が「実質25%」になる恐怖のカラクリ
売掛金100万円、手数料8%の契約で実際に手元に残る金額
ここで、冒頭の山田社長のケースを詳しく分析してみましょう。
売掛金額:1,000,000円
表示手数料:8%
一見すると、手数料は8万円で、92万円が入金されるはずです。しかし、実際の内訳はこうでした:
掛け目:80%
実際の買取額:800,000円
基本手数料:64,000円(800,000円×8%)
債権譲渡登記費用:80,000円
事務手数料:20,000円
印紙代:200円
振込手数料:800円
総コスト:165,000円
実際の入金額:635,000円
さらに、売掛金回収時に:
回収手数料:10,000円(残り20万円の5%)
最終的な受取額:825,000円
実質的な総コスト:175,000円
実質手数料率:17.5%
これでも十分高いんですが、山田社長のケースではさらに「緊急対応費」という謎の手数料3万円が追加されて、最終的に62万円の入金になったというわけです。
最終的な実質手数料率:38%
ほんまに悪質やで、こんなん。
なぜファクタリング会社は隠れコストを設定するのか
「なんでこんな複雑な料金体系にするんですか?」
よく聞かれる質問です。答えは簡単。競合他社との差別化と、顧客の心理を巧みに利用するためです。
まず、競合との差別化について。ファクタリング業界は競争が激しく、各社とも「業界最安値」を謳って顧客を獲得しようとしています。しかし、本当に手数料を下げてしまうと利益が出ません。そこで、表面的な手数料は低く設定して、隠れコストで利益を確保するという手法が横行しているんです。
次に、顧客心理の利用。資金繰りに困っている経営者は、どうしても「手数料の安さ」に目が行きがちです。「手数料8%」と「手数料15%」なら、誰でも8%を選びますよね。業者はこの心理を熟知していて、まずは安い手数料で関心を引き、契約直前になって追加費用を提示するんです。
この時点で、経営者は引くに引けない状況になっています。資金が必要な期限は迫っているし、他の業者を探す時間もない。結果として、泣く泣く高額な隠れコストを受け入れることになるわけです。
業界にいる人間として言わせてもらうと、これは明らかに「おとり広告」的な手法です。本来なら、最初から総額を提示するのが誠実な商売のやり方やと思います。
「後出し請求」で追い込む悪質業者の実態
最も悪質なのが、契約後に追加費用を請求してくる業者です。
先月、こんな相談がありました。IT関連の会社を経営する佐藤社長(仮名)が、200万円の売掛金をファクタリングで現金化しようとしたときの話です。
最初の提示条件は「手数料12%、その他費用なし」でした。佐藤社長は他社と比較検討した結果、この条件で契約を決めました。ところが、契約書にサインした翌日、業者から連絡が入ったんです。
「申し訳ございません。売掛先の信用調査をしたところ、追加の保証が必要になりました。保証料として5%をいただきます」
この時点で、佐藤社長は困り果てました。既に他の業者との交渉は断っているし、資金が必要な期限まで3日しかない。結局、追加の保証料10万円を支払うことになったんです。
さらに、入金日になって今度は「緊急送金手数料」として2万円を請求されました。理由は「通常の送金システムがメンテナンス中のため、緊急対応が必要」というもの。
最終的に、佐藤社長が支払った総額は:
基本手数料:240,000円(12%)
保証料:100,000円(5%)
緊急送金手数料:20,000円
合計:360,000円
実質手数料率:18%
これは明らかに詐欺的な手法です。契約後に一方的に条件を変更するなんて、まともな商売ではありません。
こうした業者の特徴は、最初の営業トークで「緊急性」を強調することです。
「今日中に契約しないと、この条件は保証できません」
「他にも申し込みが殺到しているので、お急ぎください」
こんな言葉で冷静な判断を妨げ、契約を急かします。そして、いざ契約が成立すると、今度は立場が逆転。追加費用を一方的に請求してくるんです。
経営者の皆さん、こんな業者には絶対に引っかからないでください。
隠れコストゼロ!優良ファクタリング会社の見分け方
「総額いくら?」この質問で業者の本性が分かる
ここまで散々悪質業者の手口を暴露してきましたが、もちろん業界には優良な業者もたくさんあります。問題は、どうやって見分けるかということです。
私が15年の経験で培った、優良業者を見分ける最も簡単な方法をお教えします。
「手数料以外の費用も含めて、総額でいくらになりますか?」
この質問を最初にしてください。優良業者なら、必ずこう答えます:
「売掛金○○万円でしたら、登記費用、事務手数料、その他諸費用をすべて含めて、総額○○万円をいただきます。お客様の手元に残るのは○○万円です」
一方、悪質業者はこんな答え方をします:
「基本手数料は○%です。その他の費用については、審査後にご案内します」
「登記費用などは実費をいただきますが、詳細は契約時に説明します」
この違い、分かりますか?優良業者は最初から透明性を重視し、総額を明示します。悪質業者は詳細を後回しにして、まずは契約に持ち込もうとするんです。
他にも、こんな質問をしてみてください:
「掛け目は何%ですか?」
「債権譲渡登記は必要ですか?費用はいくらですか?」
「売掛金回収時に追加費用は発生しますか?」
「契約書のサンプルを事前に確認できますか?」
優良業者なら、これらの質問にすべて明確に答えてくれます。曖昧な回答をしたり、「詳細は後で」と言ったりする業者は避けた方が無難です。
実際に私がお付き合いしている優良業者の営業担当者は、最初の電話で必ずこう言います:
「お見積もりは、すべての費用を含めた総額でご提示します。後から追加費用をいただくことは一切ありません」
この一言で、その業者の姿勢が分かるんです。
2社間・3社間ファクタリングの適正手数料はこれだ
次に、適正な手数料相場について説明します。これを知っておけば、明らかに高すぎる業者を避けることができます。
2社間ファクタリングの適正相場:8%~18%
2社間ファクタリングは、売掛先に通知せずに行うため、ファクタリング会社のリスクが高くなります。そのため、手数料も高めに設定されるのが一般的です。
ただし、以下の条件によって手数料は変動します:
- 売掛先の信用度:上場企業や官公庁なら8%~12%、中小企業なら12%~18%
- 売掛金の金額:1000万円以上なら低め、100万円以下なら高め
- 支払期日:30日以内なら低め、90日以上なら高め
3社間ファクタリングの適正相場:2%~9%
3社間ファクタリングは、売掛先に通知して承諾を得るため、ファクタリング会社のリスクが低くなります。その分、手数料も安くなります。
- 優良企業の売掛金:2%~5%
- 一般的な中小企業:5%~9%
これらの相場を大きく外れる業者は要注意です。特に、2社間で5%以下、3社間で1%以下を謳う業者は、隠れコストがある可能性が高いと考えてください。
先日、「2社間ファクタリング手数料3%」を謳う業者の見積もりを確認したところ、登記費用、保証料、事務手数料などを含めると、結局15%になっていました。やっぱりな、という感じです。
「この業者なら安心」優良ファクタリング会社の共通点
最後に、私が15年間で出会った優良ファクタリング会社の共通点をお教えします。
1. 透明性の高い料金体系
優良業者は、必ず最初から総額を提示します。「手数料○%」だけでなく、「総額○○万円、お客様の手元に残るのは○○万円」という説明をしてくれます。
2. 十分な説明と検討時間
「今日中に決めてください」なんて急かすことはありません。契約内容を丁寧に説明し、「ご検討いただいて、ご不明な点があればいつでもお電話ください」と言ってくれます。
3. 実績と信頼性
設立年数、取扱実績、代表者の経歴などを明確に公開しています。また、実際の顧客の声や事例も豊富に掲載しています。
4. アフターフォロー
契約後も定期的に連絡をくれて、資金繰りの相談に乗ってくれます。単発の取引ではなく、長期的なパートナーとして付き合ってくれる業者が理想的です。
5. 業界団体への加盟
日本ファクタリング業協会などの業界団体に加盟している業者は、一定の基準をクリアしているため安心です。
私がお付き合いしている優良業者の中には、こんなことを言ってくれる営業担当者もいます:
「田中さん、この案件は弊社よりも○○社の方が条件が良いと思います。ご紹介しましょうか?」
自社の利益よりも顧客の利益を優先する。これが本当の意味でのプロフェッショナルやと思います。
「手数料8%」に騙されるな!賢い経営者の選択とは
ここまで読んでいただいて、おおきに。
ファクタリング業界の隠れコストの実態、理解していただけたでしょうか。「手数料8%」という甘い言葉の裏に、どれだけ多くの罠が仕掛けられているか、お分かりいただけたと思います。
結局のところ、大切なのは表面的な手数料率に惑わされず、総額でいくらかかるのかを正確に把握することです。そして、透明性の高い優良業者を選ぶこと。これに尽きます。
賢い経営者の皆さんへのアクションプラン:
- 必ず複数社から見積もりを取る
- 「総額いくら?」を最初に質問する
- 契約書を事前に確認する
- 急かす業者は避ける
- 業界団体加盟の業者を優先する
ファクタリングは、適切に利用すれば中小企業の強い味方になります。しかし、悪質業者に引っかかってしまうと、資金繰りがさらに悪化する可能性もあります。
困ったことがあったら、いつでも相談してください。業界の裏も表も知り尽くした私が、必ずお力になります。
中小企業の経営者の皆さんが、適正な条件でファクタリングを利用できるよう、これからも情報発信を続けていきます。
今日も最後まで読んでくれて、ほんまにおおきに。
参考文献・関連情報
- ファクタリング賛否両論: https://webbranding.pro/factoring/basic/tesuryo/
- SFA JOURNAL: https://next-sfa.jp/journal/factoring/factoring-fees-are-low/
- 愛知県中小企業団体中央会: https://www.aichidaikyo.or.jp/articles-factoring-commission.html
- PMG株式会社: https://p-m-g.tokyo/service/factoring/cost/marketprice
- セゾンカード: https://www.saisoncard.co.jp/credictionary/financing/factoring-feerate.html
著者プロフィール
田中 誠(たなか まこと)
ファクタリングコンサルタント・業界アナリスト。業界歴15年、年間300社以上の資金調達支援を行う。元銀行員、元ファクタリング会社勤務の経験を活かし、中小企業経営者の視点に立った情報発信を行っている。