また今日も、ワシのところに駆け込んできた経営者がおったわ。
「田中さん、ファクタリング市場が5.7兆円にもなるってニュースで見たんですけど、これって本当なんですか?なんだか景気のええ話に聞こえますけど…」てな。
その気持ち、よう分かります。
数字だけ見たら、なんかすごい市場に見えるわな。
けどな、大事なんはその数字の“中身”や。
ワシ、田中誠は、銀行の融資課から始まって、このファクタリング業界にどっぷり浸かって20年以上になる。
せやから、その5.7兆円いう数字が、現場でどういう意味を持つんか、肌感覚で分かるんや。
この記事では、ただニュースをなぞるだけやないで。
この5.7兆円いう市場が、一体何で構成されてて、どの分野がほんまに伸びてて、どこに落とし穴があるんか。
ワシの経験と現場の情報ぜんぶ使って、丸裸にしたる。
この記事を読み終える頃には、あんたもファクタリング市場の“本当の姿”が見えて、自社の資金調達戦略に活かせるようになるはずや。
ほな、いくで。
ファクタリング市場5.7兆円の全体像
まず、この「5.7兆円」いう数字がどっから来たんか、そこから始めよか。
景気のええ話に聞こえるけど、その中身を知らんと、ただの数字に踊らされるだけやで。
市場規模の根拠と内訳:どこからこの数字が出てきた?
この5.7兆円いう数字は、主に民間の調査会社が推計しとるもんや。
特に、矢野経済研究所みたいなところが毎年調査しとって、業界の指標になっとる。
コロナの時に国が「ゼロゼロ融資」をやって、一時的にファクタリングの需要は凹んだけどな。
それが終わって、今度は円安や物価高で、中小企業の資金繰りがまた厳しくなってきた。
結果、ファクタリングの需要がV字回復して、コロナ前を超える規模になったっちゅうわけや。
売掛債権 vs 医療報酬 vs 介護報酬:ジャンル別の構成比
ほな、その5.7兆円の中身はどないなっとるんか。
ざっくり分けると、こんな感じや。
種類 | 対象 | 特徴 |
---|---|---|
売掛債権ファクタリング | 一般企業(建設、物流、製造など) | いわゆる普通のファクタリング。企業の売掛金を買い取る。 |
医療ファクタリング | 病院、クリニック | 診療報酬債権(国保や社保からの入金)を買い取る。 |
介護ファクタリング | 介護施設 | 介護報酬債権(国からの入金)を買い取る。 |
特に、医療・介護の分野は、国からの入金やから債権の信頼性がめちゃくちゃ高い。
せやから、手数料も安めやし、市場としても安定しとる。
一方で、ワシらが普段相手にしとる中小企業の売掛債権は、取引先の信用力によって価値が変動するから、こっちの方がより専門的な目利きが求められるんや。
銀行系・商社系・独立系:プレイヤーの勢力図
ファクタリング会社も、一枚岩やない。
大きく分けて3つの勢力があるんや。
- 銀行系・商社系:メガバンクや大手商社の子会社。安心感はあるけど、審査が厳しくて時間もかかる傾向がある。大企業向けが多いな。
- 独立系:ワシみたいなコンサルが紹介するような、専門のファクタリング会社。中小企業向けで、スピードと柔軟性がウリや。
- オンライン系:最近増えてきたフィンテック企業。AI審査とかで、手続きが早くて簡単なのが特徴や。
最近は、会計ソフトの会社がファクタリングサービスを始めたり、地方銀行がオンラインファクタリング会社と提携したり、どんどん垣根がなくなってきとるのが現状やな。
要するに、何が“実需”で、何が“バブル”か
「田中さん、結局この市場って本物なんですか?」
よう聞かれる質問や。
ワシの答えはこうや。
「実需とバブルが混じっとる。それを見極めるのがプロの仕事や」と。
銀行がなかなか金を貸してくれへん中で、中小企業が事業を回すための「血」を供給する。
これは紛れもない「実需」や。
せやけど、法整備が追いついてへんのをええことに、高い手数料で儲けようとする業者や、実態のない債権で市場規模を水増ししとるような動きがあるのも事実。
これが「バブル」の部分や。
この違いをしっかり理解しとかな、足元すくわれるで。
急成長している注目分野
5.7兆円市場の中でも、特に「ここは伸びとるな」とワシが肌で感じとる分野がある。
経営者なら、この流れを知っとくだけで、次の打ち手を考えるヒントになるはずや。
医療ファクタリング:伸び率と今後の余地
まず、鉄板なのが医療分野や。
病院やクリニックが、国民健康保険(国保)や社会保険(社保)に請求する診療報酬。
これは国が支払う金やから、まず焦げ付くことがない。
せやけど、問題は入金が2ヶ月も先になることや。
その間の人件費や薬品の仕入れ代を、このファクタリングで賄うわけやな。
超優良債権やから、手数料も低く抑えられる。
今後も高齢化で医療費は増え続けるし、安定して伸びていく分野やろな。
介護報酬債権:高齢化社会の追い風
医療とセットで語られるのが介護分野や。
デイサービスとか訪問介護とか、こっちも市場はどんどん拡大しとる。
これも介護報酬いうて、国から金が入る仕組みやから、医療と同じで信頼性は抜群。
特に新規で事業を立ち上げたところは、設備投資とかで最初にお金がかかるから、この介護報酬ファクタリングは生命線になっとる。
日本の社会構造を考えたら、ここの需要がなくなることはまずありえへん。
建設・物流業向け:インボイス制度と働き方改革が影響
ワシが今、一番注目しとるのがここや。
建設業や物流業。
この業界は、もともと支払いサイトが長い(仕事してから金が入るまでが長い)いう特徴がある。
そこに、インボイス制度の開始や、2024年問題みたいな働き方改革の波が押し寄せとる。
仕事のやり方を変えなあかん、でも金はすぐには入ってこん。
このギャップを埋めるために、ファクタリングの需要が急増しとるんや。
まさに「今、困ってる」業界の駆け込み寺になっとるわけや。
フリーランス・個人事業主:新しいニーズの台頭
昔はファクタリングいうたら、法人相手が当たり前やった。
せやけど、最近はオンラインファクタリングが普及したおかげで、フリーランスや個人事業主が持ってる数万円、数十万円の請求書も買い取ってくれるようになった。
これも新しい時代の流れやな。
働き方が多様化する中で、こういう細かい資金ニーズに応えられるサービスは、今後も確実に伸びていくやろな。
要注意:成長“してる風”の虚構市場
ええ話ばっかりやないで。
中には「成長してるように見せかけとる」だけの市場もあるから要注意や。
例えば、実態のないペーパーカンパニー同士で架空の請求書を回して、ファクタリングで金をだまし取るみたいな事件も後を絶たん。
こういうのが市場規模の数字を無駄に膨らませとる面もある。
表面的な成長率だけ見て飛びついたら、とんでもないトラブルに巻き込まれる。
そこだけは肝に銘じといてや。
成長を支える構造的要因
なんで今、こんなにファクタリング市場が伸びとるんか。
その背景には、もっと大きな社会の変化があるんや。
ここを理解すると、ファクタリングが単なる一過性のブームやないことが分かるはずや。
銀行融資の硬直化と資金調達ニーズの変化
ワシが銀行におった頃とは、時代が全然違う。
昔は「メインバンク」いうて、地元の銀行が会社の隅々まで面倒見てくれたもんや。
けど今は、銀行も自分の身を守るのに必死で、担保や保証人がないと、なかなか新しい融資には踏み出してくれへん。
決算書がピカピカやないと相手にされへんのや。
でも、ビジネスの現場は待ってくれへん。
「来週までに仕入れ代が要る」いう時に、悠長に銀行の審査を待ってられへんやろ?
この「銀行の論理」と「現場のスピード感」のズレが、ファクタリングの需要を生み出しとる最大の要因や。
DX化の波とオンラインファクタリングの登場
ほんま、テクノロジーの進化はすごいわ。
昔は契約書持って、会社まで行って、ハンコ押して…ってのが当たり前やった。
それが今や、スマホ一つで全部完結するオンラインファクタリングが主流になりつつある。
- 請求書をスマホで撮ってアップロード
- AIが審査して、すぐに見積もりが出る
- 契約も電子契約でポチッとな
- 早ければ、その日のうちに振り込まれる
この手軽さが、今までファクタリングに縁がなかった若い経営者とか、個人事業主にも利用者を広げとるんや。
まさにDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が、この業界にも来とるっちゅうことやな。
スタートアップとの連携:API接続・SaaSとの融合
もっと進んだ話をすると、最近は会計ソフトとかのSaaS(サーズ)とファクタリングがシステム連携(API接続)するケースも増えてきた。
どういうことか言うと、あんたが普段使っとる会計ソフトが、あんたの会社の売上データを分析して、「この売掛金なら、今すぐ〇〇円で買い取れますよ」って提案してくるんや。
もう、こっちから探しに行かんでも、必要な時に、必要な情報が向こうからやってくる。
ここまで来ると、資金調達はもっと身近で、当たり前の経営ツールになっていくやろな。
経営者心理:「早く・確実に・人に頼らず」資金を得たい
結局のところ、経営者の気持ちが一番大事や。
銀行に頭を下げて、事業計画書を何枚も書いて、いつ出るか分からん融資を待つ…。
あの心細さ、ワシもよう分かる。
それよりも、自分の力(=売掛金)で、誰にも気兼ねなく、スピーディーに資金を調達したい。
この経営者のプライドと切実なニーズに、ファクタリングがピタッとハマったんや。
これはもう、理屈やない。
感情の問題やな。
数字に現れない“闇”と“落とし穴”
さて、ここからが本番や。
キラキラした成長の話の裏には、必ず深い闇がある。
ワシがこの業界におって、一番腹が立つし、経営者の皆さんに声を大にして伝えたい部分や。
騙されたらアカンで、ほんまに。
表向きの成長と裏の「架空請求ファクタリング」
市場が5.7兆円に成長!とか言うとるけどな、その一部は「犯罪」で水増しされとる可能性があることを忘れんといてほしい。
悪知恵の働く奴らが、ペーパーカンパニーをいくつも作って、お互いに架空の請求書を発行しあう。
そして、その架空の請求書をファクタリング会社に持ち込んで、金をだまし取るんや。
これはもう、立派な詐欺や。
こういう連中が、健全な市場を汚しとる。
ほんまに腹が立つ話や。
悪質業者の手口と事例:「手数料5%」の罠
「業界最安!手数料5%!」みたいな甘い言葉には、絶対に裏があると思え。
ワシが見てきた悪質業者の典型的な手口はこうや。
最初は「手数料5%ですよ」と安い数字を見せて客を釣る。
ほんで、いざ契約の段になったら、「事務手数料」「調査費用」「印紙代」とか、意味不明な名目でどんどん費用を上乗せしてくるんや。
結局、最終的な請求を見たら、手数料が30%にも40%にもなっとった…なんて話はザラにある。
これはもうファクタリングやない。ヤミ金や。
こういう業者は、ファクタリングを規制する法律がないのをええことに、やりたい放題やっとるのが現実なんや。
統計に含まれない「グレー市場」の実態
さらに厄介なのが、統計には絶対に出てこん「グレー市場」の存在や。
これは何か言うと、ファクタリングを装った「給与ファクタリング」とか、実質的には高利貸しと変わらんような取引のことや。
金融庁も「あれは貸金業やで」と注意しとるけど、名前を変え、手口を変え、今も水面下で生き残っとる。
こういうグレーな取引は、公的な市場規模の統計には含まれへん。
せやから、我々が見てる5.7兆円いう数字は、氷山の一角に過ぎん可能性もあるんや。
これ、ほんまに成長なんか?と疑いたくなる話
先日もな、ある運送会社の社長から泣きつかれたわ。
「田中さん、ファクタリングを使ったら、逆に資金繰りが苦しゅうなってしもた…」と。
話を聞いたら、高額な手数料を取られた上に、契約書に小さく「買戻請求権付き」って書かれとったらしい。
これは「もし取引先が倒産したら、あんたが代わりに金を返せよ」という意味で、実質的には融資と変わらん。
ノンリコース(償還請求権なし)が原則のファクタリングとは、全くの別物や。
こういう被害が後を絶たんのを見ると、「この市場の成長って、ほんまに健全なもんなんか?」と、ワシ自身、疑いたくなる時がある。
数字の裏にある、こういう生々しい現実から目をそらしたらアカン。
経営者が知っておくべき今後の展望
ほな、これからファクタリング業界はどうなっていくんか。
そして、あんたたち中小企業の経営者は、どう備えたらええんか。
ワシなりの予測とアドバイスを伝えとくわ。
市場再編の兆し:業者の淘汰とM&A
今はまさに玉石混交。
真面目な業者も、悪質な業者もごちゃ混ぜになっとる。
せやけど、この状況は長くは続かへん。
今後は、コンプライアンスがしっかりしてて、体力のある会社が、そうでない会社を吸収合併(M&A)していく流れが加速するやろな。
メディカル分野ではもう上場企業も出てきとるし、業界全体がもっとクリーンで、社会的に信頼される方向に向かっていくはずや。
その過程で、怪しい業者は自然と淘汰されていくやろ。
法規制の動き:登録制導入で何が変わる?
一番の注目は、やっぱり法規制の動きや。
今はまだ、ファクタリング業を始めるのに特別な許可や登録は要らん。
これが悪質業者の温床になっとるわけやからな。
せやから、金融庁を中心に「貸金業みたいに登録制にすべきやないか」という議論がずっと続いとる。
もし登録制が導入されたら、業界は激変するで。
ヤミ金みたいな業者は一掃されるやろし、利用者も安心してサービスを選べるようになる。
これは業界の健全化にとって、絶対に必要やとワシは思っとる。
今後の有望業界は?プロが本音で予測
ワシが個人的に、今後もファクタリングの需要が伸びると見とる業界はこれや。
- IT・ソフトウェア業界:サブスクリプションモデルが増えて、将来の売上(将来債権)を前倒しで資金化したいニーズは増える。
- 輸出入関連:海外との取引は、為替変動のリスクもあるし、入金サイクルも長い。ファクタリングでリスクヘッジする動きは強まるやろな。
- 環境・エネルギー関連:SDGsの流れで、新しい事業がどんどん生まれとる。こういう新規事業は銀行融資が降りにくいから、ファクタリングが活躍する場面は多いはずや。
中小企業経営者はどう備えるべきか?
最後に、経営者のあんたに伝えたいことや。
ファクタリングは、あくまで経営を助けるための一つの「道具」や。
その道具に振り回されたらアカン。
大事なのは、以下の3つや。
- 相見積もりを必ず取る:1社だけの言い分を鵜呑みにせんと、最低でも2〜3社から話を聞くこと。
- 契約書を隅々まで読む:「償還請求権」とか「買戻し」みたいな、不利な文言がないか、自分の目で確かめること。
- 信頼できる専門家に相談する:分からんことがあったら、一人で悩まんと、ワシみたいな専門家や弁護士に相談すること。
この3つを守るだけで、失敗するリスクは格段に減らせるで。
まとめ
長々と話してもうたけど、今日の話をまとめとくわ。
- ファクタリング市場5.7兆円の「リアルな内訳」
- 数字の根拠は調査会社の推計やけど、中身は売掛債権、医療・介護報酬債権で構成されとる。
- プレイヤーは銀行系から独立系、オンライン系まで様々で、競争が激しくなっとる。
- 成長分野とその背景を現場目線で分析
- 医療・介護は鉄板で安定成長。建設・物流は「今」のニーズが爆発しとる。
- 背景には、銀行融資の厳しさや、DX化の波、そして「早く資金が欲しい」という経営者の切実な想いがある。
- 経営者への最後のメッセージ:「数字は嘘つかへんけど、読み違えたらアカンで」
- 成長の裏には、悪質業者やグレー市場いう「闇」があることを絶対に忘れたらアカン。
- 甘い言葉に騙されず、自分の目で業者を見極め、賢くファクタリングを使いこなしてほしい。
ファクタリングは、正しく使えば、あんたの会社を救う強力な武器になる。
せやけど、一歩間違えれば、会社を破滅させる爆弾にもなるんや。
今日の話が、あんたが正しい判断をするための一助になれば、ワシは本望や。
今日も最後まで読んでくれて、おおきに。