医療ファクタリングで絶対に知っておくべき3つのポイント – 診療報酬債権の罠

また今日も、ワシのところに駆け込んできたクリニックの院長先生がおったんや。
「田中さん、助けてください!医療専門やから安心やと思って契約したのに、話が全然違うんです…」て。

ほんま、この業界に20年以上おると、こういう話は後を絶たん。
特に「医療ファクタリング」は、一見すると安全そうに見えるからタチが悪いんや。

「診療報酬債権」って聞いたら、国や自治体が相手やから、まず間違いなく回収できる優良債権やと思うやろ?
その通り。
せやから、手数料も安いはずやし、安全な資金調達のはずなんや。

でもな、その「安全神話」を逆手にとって、経営者を食い物にするハイエナみたいな業者がおるのも事実。
「診療報酬債権だから大丈夫」なんて考えは、今の時代、ほんまに危険やで。

ワシは銀行で融資を担当し、ファクタリング会社で営業部長も経験し、今は独立して年間300社以上の資金調達の相談に乗っとる。
銀行の理屈、ファクタリング会社の裏側、そして現場の経営者の苦しみ、全部見てきた。

この記事では、そんなワシが、医療ファクタリングのリアルな実態と、絶対に知っておかなアカン3つの要注意ポイントを、忖度なしでズバッと解説していくで。
この記事を読めば、甘い言葉の裏に隠された罠を見抜けるようになる。
最後までしっかりついてきてや。

医療ファクタリングの基本構造と誤解

医療機関が抱える資金繰りのリアル

そもそも、なんで医療機関がファクタリングを検討するんか。
それは、独特の入金サイクルにあるんや。

患者さんを診察して、保険請求するやろ。
そのお金、すぐに入ってくるわけやない。
国保や社保にレセプト(診療報酬明細書)を提出して、審査があって、実際に入金されるのは約2ヶ月も先なんや。

でも、スタッフの給料、家賃、医薬品や医療機器のリース代は毎月待ったなしで出ていく。
このズレが、キャッシュフローを圧迫する大きな原因や。
特に開業したてとか、新しい設備を入れた後なんかは、ほんまに資金繰りが厳しくなる。

「銀行は晴れの日に傘を貸して、雨の日に取り上げる」

昔からよう言われるけど、ほんまその通り。
資金繰りが苦しい時ほど、銀行は冷たいもんや。
だから、背に腹は代えられず、ファクタリングに頼らざるを得ない経営者が多いんやな。

「診療報酬債権=安全」という幻想

ここで多くの人が陥るのが、「診療報酬債権は国が相手やから、絶対に安全や」という思い込みや。
確かに、債権の回収リスクはほぼゼロに近い。
せやから、ファクタリング会社にとっても、めちゃくちゃ美味しい債権なんや。

でもな、安全やからこそ、そこに付け入る隙が生まれる。
「こんなに安全な債権なんですから、ウチなら好条件で買い取りますよ!」
そうやって甘い言葉で近づいてくる業者には、絶対に裏があると思わなあかん。

安全なはずの橋でも、渡る前にしっかり叩いて確認せな、足元をすくわれるで。

保険請求と入金サイクルのギャップが生む資金不足

この構造的な問題を、もうちょっと分かりやすく整理しとこか。

  • 1月:患者さんの診療を行う(売上発生)
  • 2月10日頃:1月分のレセプトを国保・社保に提出(請求)
  • 3月下旬:やっと1月分の診療報酬が入金される

見ての通り、売上が現金になるまで、ざっと2ヶ月以上かかる。
この間にも、支払いはどんどん発生する。

  • 人件費(給料)
  • 家賃・光熱費
  • 医薬品・消耗品の仕入れ代金
  • 医療機器のリース料・ローン返済

このギャップを埋めるために医療ファクタリングは存在するんやけど、その使い方を間違えたら、もっと深い沼にハマることになるんやで。

絶対に知っておくべきポイント①:債権の“本当の”所有権

譲渡禁止特約と実質的なリスク

まず一つ目のポイントは、あんたが売ろうとしてるその「診療報酬債権」、ほんまにちゃんとファクタリング会社のものになるんか?って話や。

2020年の民法改正で、たとえ契約に「この債権は他人に譲渡しちゃダメですよ(譲渡禁止特約)」って書いてあっても、債権譲渡は原則として有効になった。
これは、ファクタリング業界にとっては追い風や。

せやけどな、「法律でOKになったから万事安心」とはならんのが、この世界の怖いところや。
契約の仕方によっては、その譲渡が「真正な譲渡」と認められへんケースがあるんや。
つまり、「売ったつもり」が、法律上は「債権を担保にした借金(譲渡担保)」と判断されるリスクがあるっちゅうことや。

そうなると、もしあんたのクリニックが倒産でもしたら、その債権はあんたの資産として扱われて、他の債権者に差し押さえられる可能性だって出てくる。
「売ったはずやのに、なんで!?」って、その時になってからじゃ遅いんやで。

国保連・社保への通知問題とその影響

医療ファクタリングは、基本的に「3社間ファクタリング」で行われる。
これは、あんた(医療機関)とファクタリング会社、そして債務者である国保・社保の3者間で契約する方式や。

この方式のキモは、国保・社保に対して「この診療報酬を受け取る権利は、ファクタリング会社に移りましたで」と通知すること。
この通知があって初めて、ファクタリング会社は正式な債権者として国保・社保に直接請求できるわけや。

ところが、悪質な業者はこの通知を嫌がったり、曖昧にしたりすることがある。
あるいは、「先生、国保に知られたら面倒でしょ?ウチなら通知なしの2社間でもっと早くやれますよ」なんて誘い文句で、法外な手数料の2社間契約に誘導しようとする。

通知をせえへんいうことは、対抗要件が具備されへんいうこと。
万が一、あんたが他の業者にも同じ債権を売ってしもうた場合(二重譲渡)、先に通知したもんが勝つ。
そんな危ない橋、まともな業者なら渡らへん。
この「通知」を軽視する業者は、まず疑ってかかるべきや。

実際の現場で起きた「譲渡無効トラブル」

これは、ワシが実際に相談を受けた話や。
ある地方のクリニックの院長が、資金繰りに困ってネットで見つけた「医療専門」を謳うファクタリング会社と契約したんや。

契約書には「債権譲渡契約」と書いてあった。
せやけど、その契約書の隅っこに、小さな文字で「契約期間内に解約する場合は、譲渡額と同額の違約金を支払うことで買い戻すことができる」みたいな条項があったんや。

一見、親切な条項に見えるやろ?
でも、これが罠やった。
裁判所から見れば、「買い戻せるってことは、完全に売ったわけやなくて、実質的には借金と同じ(譲渡担保)やな」と判断されかねへんのや。

案の定、そのクリニックは経営が立ち行かんようになってしもうて、破産手続きに入った。
そしたら、破産管財人から「あの債権譲渡は実質的に担保だから、ファクタリング会社だけのものじゃない。クリニックの財産として扱います」って言われてしもうたんや。

ファクタリング会社は当然、全額回収できると思ってたから大慌て。
院長先生も「売ったはずなのに…」と頭を抱えるしかなかった。
契約書のたった一行が、命取りになることもあるんやで。

絶対に知っておくべきポイント②:手数料のカラクリ

「3.5%」のウラに隠れた実質利回り

2つ目のポイントは、カネの話や。
「手数料3.5%!業界最安水準!」みたいな広告、よう見るやろ?
数字だけ見たら、「銀行の融資よりちょっと高いけど、まあええか」と思ってしまうかもしれん。

その考えが、一番アカン!

ファクタリングの手数料は、年率に換算して考えなあかん。
例えば、1000万円の診療報酬を、2ヶ月早く現金化するために手数料3.5%(35万円)払ったとする。

たった2ヶ月で3.5%のコストがかかってるんやから、これを年率に直すとどうなるか?
単純計算でも、3.5% × 6(12ヶ月 ÷ 2ヶ月) = 年利21%や。
これ、利息制限法の上限(15%〜20%)を超える、とんでもない高金利やで。

ファクタリングは貸金業やないから、この法律は直接適用されへん。
せやけど、この「実質利回り」の感覚を持っとかんと、気づかぬうちに会社の体力をどんどん削られていくことになる。
表面的な数字に騙されたらアカン。数字は嘘をつかへんが、見せ方で人を騙すんや。

“一括買取”と“分割入金”の違い

医療ファクタリングでは、入金が2回に分かれるのが一般的や。
なんでかっちゅうと、レセプトを請求した時点では、まだ審査前で報酬額が100%確定しとらんからや。

一般的な流れはこうや。

入金のタイミング内容
1回目の入金契約後すぐ。請求額の約80%が、手数料を引かれて振り込まれる。
2回目の入金約2ヶ月後、国保・社保からファクタリング会社に満額入金された後。残りの約20%から、調整額などを引かれて振り込まれる。

ここで注意せなあかんのは、手数料がどの金額に対してかかってるか、や。
「請求額全体」にかかるのか、「1回目に入金される金額(早期入金額)」だけにかかるのか。
これだけで、支払う総額は大きく変わってくるで。

説明されない「その他費用」の正体

「手数料は安いですよ」と言いながら、契約の段階でいろんな費用を上乗せしてくるのが悪質業者の常套手段や。
契約書をよう読まんと、とんでもない請求が来ることになる。

最低でも、以下の費用がかかる可能性があることは覚えといてや。

  • 債権譲渡登記費用:法務局で登記する際の実費と司法書士への報酬。数万円〜十数万円かかることもある。
  • 印紙代:契約書に貼る収入印紙代。
  • 事務手数料:審査料や契約手続きの名目で請求される。
  • 出張費・交通費:対面契約の場合に請求されることがある。

「手数料0.8%!」と謳っていても、これらの諸費用を合わせたら、結局5%以上になった、なんて話はザラにある。
見積もりを取る時は、「結局、手元にいくら残るんですか?総額でいくら払うことになるんですか?」とはっきり聞くことが大事や。

絶対に知っておくべきポイント③:悪質業者の手口

名ばかり「医療専門」業者に注意せよ

3つ目のポイントは、敵(悪質業者)の手口を知ることや。
最近は「医療ファクタリング専門」「クリニック専門コンサルタント」みたいな肩書を名乗る業者が増えた。

ホームページは綺麗で、優しそうな担当者の顔写真が並んどる。
せやけど、その多くは、ただのファクタリング業者が「医療は儲かる」と聞いて、とってつけたように専門を名乗ってるだけの場合が多い。

ほんまの専門家なら、診療報酬の仕組みはもちろん、各診療科の特性や、地域の医療事情まで詳しゅうないとアカン。
「専門」という言葉に安心せず、その担当者がほんまに業界を理解しとるか、いくつか専門的な質問をぶつけてみることや。
答えに詰まったり、一般的な話しかできひんようなら、そいつは偽物や。

架空請求、二重譲渡、契約内容の隠蔽

悪質業者が使う手口は、昔からあんまり変わらへん。

  • 法外な手数料:さっきも言うたけど、年率換算したらヤミ金と変わらんような手数料を請求する。
  • 偽装ファクタリング:契約書は「売買契約」やのに、償還請求権(ノンリコース)がなかったり、実質的に貸付と変わらん内容になっとる。
  • 契約内容の隠蔽:不利な条項をわざと小さな文字で書いたり、口頭で説明しなかったりする。 契約書の控えを渡さない業者も論外や。
  • 強引な契約:「今日中に契約してくれたら安くします」みたいに、経営者の焦りにつけ込んで、冷静な判断をさせずに契約を迫る。

こんな手口に引っかからんためには、こっちが知識で武装するしかないんや。

事例紹介:あるクリニックが騙された話

これも実際にあった話や。
都内で小児科を開業して3年目の若い院長先生やった。

冬場は患者が多くて資金繰りも順調やったけど、夏場になって患者がガクッと減って、キャッシュが回らんようになった。
銀行に相談しても、開業時の融資がまだ残っとるからと、ええ返事がもらえん。

そんな時、ネット広告で見た「小児科専門ファクタリング」という会社に連絡したんや。
電話口の担当者は物腰が柔らかくて、「先生のそのお気持ち、痛いほど分かります。我々が全力でサポートします」と、心に寄り添うようなことばかり言う。

提示された手数料は4%。
相場よりは高いけど、すぐに資金化できるならと、契約を決めた。

せやけど、契約当日になって出てきた契約書を見て、先生は愕然とした。
手数料4%とは別に、「コンサルティング料」として10%、「事務手数料」として5万円が計上されとったんや。
「話が違うじゃないか!」と抗議しても、「これは業界の慣例でして…」「皆さんにご納得いただいてます」の一点張り。

結局、その先生は契約せざるを得んかった。
目先の資金は手に入ったけど、その後の資金繰りはさらに悪化して、結局ワシのところに相談に来たんや。
優しい言葉と低い手数料は、悪質業者が仕掛ける罠の入り口やと、肝に銘じておいてほしい。

安全に医療ファクタリングを活用するためのチェックポイント

契約前に必ず確認すべき7つの項目

ここまで脅かすようなことばっかり言うてきたけど、もちろん、まっとうなファクタリング会社もたくさんある。
そういう優良な会社と契約するために、契約前には必ず以下の7つの項目を自分の目でチェックしてや。

  1. 契約形態は「債権譲渡契約」か?:「金銭消費貸借契約」なんて文言があったら、それはただの借金やで。
  2. 償還請求権は「なし(ノンリコース)」か?:「あり(ウィズリコース)」になってたら、万が一の時にあんたが責任を負うことになる。
  3. 手数料の内訳は明確か?:基本手数料以外に、どんな費用が、いくらかかるのか。総額を必ず確認する。
  4. 実質年率は何%になるか?:表面の手数料率に騙されず、必ず年率換算して、そのコストが妥当か判断する。
  5. 債権譲渡登記は必須か?:登記が必要な場合、その費用は誰が負担するのか。
  6. 契約書の控えはもらえるか?:渡さない業者は100%クロや。
  7. 会社の情報は確かか?:会社の住所、代表者名、固定電話の番号はちゃんとあるか。登記情報も確認する。

信頼できる業者の特徴とは?

逆に、信頼できる業者はこういう特徴がある。

  • 実績が豊富で、それを公開している:何年も事業を続けていて、取引実績をホームページなどでちゃんと公開しとる。
  • 担当者の知識が豊富で、説明が丁寧:こっちの質問に的確に答えてくれるし、メリットだけやなく、デメリットやリスクも正直に話してくれる。
  • 契約を急かさない:「一度持ち帰って検討してください」と言えるくらいの余裕がある。
  • 複数の会社から相見積もりを取ることを推奨してくる:自社のサービスに自信があるから、他社と比較されることを恐れへん。

公的サポート・相談窓口の活用方法

ファクタリングを検討する前に、まずは公的な支援が使えへんか確認するのも一つの手や。
例えば、日本政策金融公庫の融資や、信用保証協会の保証付き融資は、ファクタリングよりずっと低コストで資金調達できる可能性がある。

もし、悪質な業者とトラブルになってしもうたら、一人で悩んだらアカン。
すぐに弁護士や、中小企業支援センターみたいな専門機関に相談するんや。
早めに動けば、被害を最小限に食い止められるかもしれん。

まとめ

  • 医療ファクタリングは“使い方次第”で武器にも毒にもなる
    • 診療報酬債権は安全な債権やけど、その安全神話が悪用されることもある。
    • 資金繰りの構造的な問題を理解した上で、慎重に利用を検討せなあかん。
  • 「診療報酬債権だから大丈夫」は通用しない時代
    • 契約内容をしっかり確認せんと、「売った」つもりが「借りた」ことになってるリスクがある。
    • 表面的な手数料率に騙されたらアカン。実質年率と諸費用を含めた総コストで判断することが重要や。
    • 「医療専門」という言葉を鵜呑みにせず、悪質業者の手口を知って、自分の身は自分で守る知識が必要や。
  • 現場を知る筆者からのメッセージ:「経営者の皆さん、ほんまに気ぃつけてや」
    • 資金繰りに困った時、冷静な判断をするのは難しいかもしれん。
    • でも、そんな時こそ、一歩立ち止まって、契約書を隅から隅まで読んでほしい。
    • 分からんことがあったら、納得できるまで質問してほしい。

あんたが必死で守ろうとしとるクリニックと、スタッフ、そして患者さんの未来を、安易な契約で危険に晒したらアカン。
ほんまに大事なことやから、何度でも言うで。気ぃつけてや。

今日も最後まで読んでくれて、おおきに。
困ったことがあったら、いつでも相談してや。